永代供養墓のQ&A
お墓は、人生の最後に誰もが入る場所です。今、お墓は跡継ぎが守って次代へつなぐものという概念が崩れ始めています。従来では考えられなかったお墓の形態や供養の方法が広がりつつあります。新しい供養の方法と、花巻市内の墓地の情報をお知らせします。お墓の購入や供養方式の選択の参考にしていただければと思います。
お墓は必ず建てなければなりませんか。
必ずつくらなければいけないというものではありません。散骨や自然葬、手元供養もできます。
自宅にお墓を建ててもよいですか。
「墓地、埋葬等に関する法律」により、墓地以外の場所での埋葬は禁じられています。自宅の庭のほか、所有している山林にお墓を建てることもできません。墓地の開設には、公衆衛生上、場所の制限があり、都道府県知事の許可が必要です。
子供がありませんが、将来の供養はどうしたらいいでしょうか。
永代供養墓地、共同墓地を利用できます。
永代供養墓地とは、どのようなものですか。
生前に永代使用料を前払いしておくものです。寺院墓地でしたら、ご住職に相談なさってください。一般的な永代供養料は 50 万円と言われています。
共同墓地とは、何ですか。
地域に住む人や志に賛同する人々が同じ墓に入るというものです。個々の墓ではなく、石碑や供養塔などの広い地下納骨スペースなどに、共同で骨壺を納めます。共同体や市民団体が運営・管理します。「集合墓」「合葬墓」「総墓」などと呼ばれることもあります。
他人の遺骨と一緒になることに抵抗感がある方には向きません。家族の同意もあったほうがよいでしょう。
個人で墓石を購入する必要がないので、従来の墓地よりは安く求められます。
残念ながら、岩手県では見つけられませんでした。宮城県には既に開設されています。
お墓を移すことはできますか。手順を教えてください。
できます。お墓を移すことを改葬と言います。改葬の手順は次のとおりです。
①新しいお墓の管理者に「受け入れ証明書」を発行してもらう。
②古いお墓の管理者に「埋葬証明書」を発行してもらう。
③新しいお墓のある市町村役場に申請して「改葬許可書」を公布してもらう。
④古いお墓の管理者に「改葬許可書」を提示して、お寺の住職に「お魂抜き」(お墓を引き払う供養のこと)をしてもらう。
⑤新しいお墓の管理者に「改葬許可書」を提出して、改めて納骨の供養をしてもらい新しい墓籍簿に記入します。
改葬する際の注意を教えてください。
質問6の手続を行う前に、いまの墓地へ事情を説明する必要があります。
特にお寺のお墓を移す場合は、よく理解してもらった上で、トラブルが起きないよう話を進めていくことが大切です。
事前に何の相談もなく、一方的に改葬の手続きを進めてしまうと、高額な離檀料を請求されることがあるようです。また、質問6の②で述べたように、墓地の管理者に署名・捺印入りの埋葬証明書を発行してもらわなければいけないので、改葬の理由を冷静かつ誠実に伝えましょう。
親族にも同様に説明が必要です。
改葬の費用はいくらぐらいかかりますか。
新しい墓の工事費、新しい墓の永代使用料、元の墓を撤去して更地に戻す費用、石碑の運搬料、開眼供養などへのお布施が必要です。新潟から東京へ石碑と遺骨を移した場合、253 万円かかったという例が新聞に載っていました。
岩手県沿岸から内陸への改葬ではそこまでかからないとは思いますが、かなりの出費にはなりそうです。
石碑の持ち込みが禁止されていることも多く、その場合には新しい墓地に新たに墓石を建てなければならないので、その費用もかかります。
また、寺から離檀料を請求されることもあります。これは1万円から50万円とさまざまな例が報告されています。
「お墓を買う」と、その土地を所有できるのですか。
墓地の購入とは、正確には「永代使用権を買う」ことです。土地を所有する権利を買うのではありません。その権利の内容や制限は墓地によって違うので、買うときには契約内容(年会費、管理料、使用権がなくなるのはどんな場合か)や規則をよく検討しましょう。
自然葬とはどのようなものですか。
従来の石碑を建てたお墓ではなく、遺骨を直接自然へ還したり、墓標として自然物を用いるものを指します。墓でなく、海や山などに遺体や遺灰を還すことにより、自然の大きな循環の中にかえろうとする葬送の方法です。
墓地や霊園を造成しない環境に優しい葬送方法として注目されています。また、お墓を継承する人がいなくともよいというメリットもあります。
具体的には散骨、海洋葬、樹木葬などがあります。
散骨はどのようなものですか。
船や飛行機での散骨のほか、山での散骨もあります。宇宙葬というのもあるそうです。節度を守った散骨であれば問題はないとされています。
海の散骨の場合は、骨は米粒より小さくしておくこと。山の散骨の場合は、骨は灰にしておくことが必要です。
また、散骨しても墓を建てる方もいます。
海洋葬について教えてください。
船をチャーターして海に散骨します。現在では海洋葬を扱う業者は増えており、海での散骨の費用は5~20 万円くらいです。船に乗り込まなくても、業者に委託することもできます。
生活保護を受けている方、東日本大震災の被害を受けた方で、その会社の定める条件を満たしていると認められた場合、海洋散骨葬を無料でやってくださる会社もあります。
樹木葬について教えてください。
墓石ではなく、樹木を墓標(目印)として遺骨を埋葬し、供養する方法です。
手元供養について教えてください。
手元供養とは「お墓を建てたいが高くて買えない」「すでに墓はあるが、遠方のため気軽にお参りできない」といった人のために、遺骨を自宅においておく方法です。
現在の墓地埋葬法によれば、適切に死亡届が出され、火葬された遺骨であれば、墓地に埋葬しようがしまいが自由だそうです。日本でも近年、手元供養の利用者が増えています。
遺骨をセラミックで固めて横20センチ、縦10センチ程度のプレート状にしたもの、遺骨をペンダントに入れたもの、ミニ骨壺入れたもの、遺骨を固めて仏像状にしたもの、インテリアとしても有用なオブジェにしたものなどさまざまあります。値段も1万~100 万円とまちまちです。
「故人をいつも身近に感じていたい」「近くで見守ってほしい」という思いを叶えてくれるものといえます。